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夢の残り香~日劇ミュージックホールの文学誌

五月美沙、その対談

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 『陳平パンチ対談 実力人間登場』(日本文華社)という本に五月美沙と野末陳平との対談が収められている。はじめ「平凡パンチ」誌上で行われていて「ヌード商売2年半」と題された対談には昭和四十年三月の日付がある。ちなみに単行本の刊行は昭和和四十一年十一月三十日第一刷とある。
 ここで彼女は彼女は初舞台のころの心境を語っている。
 〈あたし、意外とオシがふといんですけど、初めてのときはそりゃもう足はガタガタしちゃうし、目の前が真っ暗になっちゃって・・・・・・〉
 日劇ミュージックホールのデビューは一九六四年(昭和三十九年)五月だから「ヌード商売2年半」というのはテアトルSS時代も含めての話で、この発言もテアトルSSでの体験を語ったものだろう。そして、それがいまでは「知りあいの方がどこで見てるか、だいたいわかります」と述べている。
 そのファンについて「あたしのファンは、学生さんとか普通のサラリーマン、学校の先生なんてのが多いんです」と語っていて、野末陳平は「インテリ殺しのミサだね」と応じている。
 さらに彼女は創価学会の信者であり、両親が学会員で彼女も小学校六年生のとき入信したという。「むずかしいことはわからないけど、人間にはだれしも人にいえない悩みがありますね。そういうときにくじけそうになるでしょう、そのときご本尊さまにたよれば、精神的に違ってくるわけです。べつに事態がかわるわけじゃないんですけど」というのが彼女の説く効用である。
 ここでの野末陳平の発言に「この楽屋には学界のヒトが七人いるって話だけど」とあるようにミュージックホールには創価学会の信者がたくさんいたという。何らかの社会的事情があるのか、たんなる偶然かは知らないが、その代表が小浜奈々子で「あなたの望みは?」と訊ねられて「一人でも多くの創価学会の信者になるように折伏したいことです」と答えていた。
 失踪して行方知れずになった彼女に宗教が精神上の平安をもたらしてくれているよう願っておきたい。
by yumenonokoriga | 2013-03-15 11:59 | 日劇ミュージックホールの文学誌

いまはない日劇ミュージックホールをめぐるコラムです。

by yumenonokoriga
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