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夢の残り香~日劇ミュージックホールの文学誌

小浜奈々子、松永てるほ、岬マコさんにお目にかかりました①

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 このブログを読んで下さっているN氏から、近く小浜奈々子さん、松永てるほさん、岬マコさんとごいっしょする機会があるので、よかったらいらっしゃいませんかとお誘いがあった。
 小浜奈々子さんの名前は高校生のときたしか「平凡パンチ」で知ったから、早くは十代からあこがれていた人たちに拝眉の機会が得られるなんて思いもよらないことで、わが人生にこれまでも、そしてこれから先もあるとは思われない超弩級の青天の霹靂に、さておく何もない無職渡世なのに、何はさておいてもまいりますとお応えしたあと、しばらくは心拍数が増し、その夜はめずらしくひどく寝つきが悪かった。
 これほどの事態に遭遇すると、わたしはみょうに四字熟語に踊らされているような心理状態になるらしく「驚天動地」のお誘いを受けて即座に「欣喜雀躍」で小躍りすると、つぎには、あまりのありがたさから「茫然自失」となり、何をする必要もないのに「周章狼狽」して何をしてよいやらわからず、そして当日になると「羽化登仙」の気分になった。
 もちろん三人を前にして緊張しましたよ。なにしろ昭和四十七年の一月か二月のある日、大学生だったわたしが、日劇ミュージックホール開場二十周年公演「すべて乳房からはじまる」を観て、ミュージックホールっていいなあ、これからも観続けていきたいなあと感じ入った、そのとき舞台で踊っていらした三人、それも歴代のトップスターを目前にしているのですから。それに素顔は地味だけど舞台化粧をすると華やかに変身するタイプもいるらしいけれど、素から華麗なオーラのある方々だからわたしがそんなふうになるのは当然のなりゆきでした。
 「早く亡くなったけど、水原まゆみはえらかったわね。舞台に出ながら夕雨子というバーもやっていたんだから。しっかりしてたんだ」
 「しっかりしてた。でも、ステージの彼女を見ていると、ちょっと儚げな表情が見えて、自然と支えてあげたくなったりして。ファンもそんな気がしてたんじゃないかしら」。
 松永てるほさんと岬マコさんが水原まゆみさんを偲びながらする話に「へーえ、凄い観察力だな」とN氏とわたしは驚いたり感心したり。
 コーヒーを飲みながら懐旧談や関係者の消息をおうかがいするなどこの上なく貴重で、素敵なひとときでした。
by yumenonokoriga | 2014-05-15 08:50 | 日劇ミュージックホールの文学誌

いまはない日劇ミュージックホールをめぐるコラムです。

by yumenonokoriga
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