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台本

 ある方のご厚意で日劇ミュージックホール昭和五十四年十一・十二月公演「愛を唄う乳房の舞」の台本を見せていただいた。台本は劇場があったころでも関係者以外の目に触れることはめったになく、いまは超レアものである。
 本公演のゲストは山口美也子、三原玲奈、東郷あんり、ヌードでは朱雀さぎりがトップで、岬マコ、水原まゆみ、明日香ミチ、朝比奈れい花と続いている。
 なかは全七十五頁ガリ版印刷で、念のため日本語ワードプロセッサについて調べてみると、東芝がワープロ史上画期的とされるJW-10を発表したのが昭和五十二年(一九七七年)、価格は六百三十万円とあったから本公演のころはまだワープロが普及するまえの時代だった。
 余談ながら谷沢永一『紙つぶて』に「安部公房が昭和二十五年に出した『魔法のチョーク』はザラ紙に謄写版刷り、タテ十七糎、ヨコ十二糎、全部でたった二十九頁、パンフレットの切れはしのような本だ」「開高健が昭和二十六年、二十歳のとき、孔版私家版としてごくわずかに友人間に配った長篇処女作『あかでみあ めらんこりあ』」といった記述があるように日本文学史上、ガリ版印刷はあだやおろそかに出来ない。芸能史においても同様で、台本を眺めながらそんなことを思った。
具体の見本として第二部の「白と黒のレディたち」を挙げておこう。

〈M-君の瞳に恋してる
オーバチュアあって、ウインドウひき取る。白格子越しに、白と黒のドレスの女たちがみえる。
白組朱雀さぎりを中心に上手側、黒組、岬マコを中心に、下手側、唄手(東郷あんり)
白組がセリで踊る時、黒組が舞台でポーズしたり、その反対もあり、最後、それぞれ対になっているという、色の対照をおもしろくみせたい。
衣装は、シックでエレガントなドレス、手には、小さな扇子を持っている。
装置は、大黒バックに、ガーデン風白吹き抜け(パイプ)〉

 といった具合で絵コンテもなく、ここから板の上(舞台)の状景を思い浮かべるのはむつかしいけれど、こうした骨格に花を、実をつけて素敵な舞台に仕上げたスタッフ、出演者のいとなみは舞台に接したことのない方にもご想像いただけるような気がする。
(管理画面が新しくなったので使ってみたが、斜体文字の修正がうまくゆかなかったので旧管理画面を使うと、今度は写真の回転の方法がわからない。不体裁だが斜体文字よりマシなのでこちらでアップしました。)
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by yumenonokoriga | 2016-10-01 10:39 | 日劇ミュージックホールの文学誌 | Comments(0)