感謝とともに

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 おかげさまでコラム「夢の残り香」は今回で百回目を迎えました。ご愛読、ご支援にあらためて感謝申し上げます。手許の資料を眺めていますといますこし続けられそうです。これからもよろしくお願い申し上げます。その資料について今回はひごろ執筆にあたりお世話になっている基本的な文献について感謝を捧げながら紹介してみようと思います。
 日劇ミュージックホールの基本文献あるいは正史として挙げられるのは丸尾長顕編『日劇ミュージック・ホールのすべて』と『the Nichigeki Music Hall』で、一九六四年美研出版刊の前者は時代を感じさせるモノクロの、一九八二年東宝出版室刊の後者はカラーの舞台写真を用いながら劇場のあゆみを綴っていて、日本のショウビジネスの歴史の一端を伝えてくれています。
 阪急グループの総帥である小林一三に見込まれ、「清く正しく美しく」から「清く正しく色っぽく」をめざし、長く劇場運営にあたった丸尾長顕にはほかに『女体美』(五月書房一九五九年)や『回想 小林一三』(山猫書房一九八一年)などがあり、劇場の初期のあゆみを調べるのに欠かせません。丸尾は、ミュージックホールはストリップではない、ヌードだと主張して他の劇場との差異化を図りましたが、丸尾のいうところのヌードを含むストリップの時代を描いた名著に橋本与志夫『おお!ストリップ』(スポーツニッポン新聞社出版局一九七五年)と『ヌードさん』(筑摩書房一九九五年)があります。残念ながら両著とも昭和二十年代が中心で三十年代以降のミュージックホールの記述は弱いのですが、そこを埋めてくれるのが石崎勝久『裸の女神たち 日劇ミュージックホール物語』(吐夢書房、一九八二年)で、有楽町の日劇が取り壊されるまでを描いています。
 劇場関係者の手になる著書ではほかに岡田恵吉『女のシリ・シンフォニー』(学風書院一九五八年)があります。著者はミュージックホールの演出家で、第一回公演「東京のイヴ」の構成・演出もこの人が担当しました。丸尾長顕が本書の帯に「岡田君ほど、このけんらんたる女の世界の事情に通じている人は、日本にはいない」と推薦し、ご本人も「僕は戦後約十年間ほとんど、裸の女の子のお相手をしてして暮らしてきた」と語っているうらやましい方の著書だけあって、ハダカを美しく見せるための専門書の趣があります。いずれも絶版ですが、古書店で見かけたときなどぜひ手にとってみてください。
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by yumenonokoriga | 2013-05-25 09:56 | 日劇ミュージックホールの文学誌 | Comments(0)