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夢の残り香~日劇ミュージックホールの文学誌

伊東深水が描いた根津清太郎 補遺

 三田純市「蕩児余聞」に、伊東深水が日劇ミュージックホールの楽屋風景を描いた「戸外春雨」ほか数点の作品中に根津清太郎の姿もあるとの記述があった。そこでウェブサイト上で「伊東深水」「戸外春雨」で検索をかけてみたところ「気ままに 大船での気ままな生活日誌」というブログに「福富太郎コレクション展」図録所収「戸外は春雨」が掲載されていた。
 記事の題名は「福富太郎コレクション展」。日付は二0一一年二月二十八日。
 ブログ上に筆者のお名前はないが「気ままに」子はこの展覧会について「昭和のキャバレー王のニックネームをもつ方なので、豪快な派手なイメージをもっていたが、実際はだいぶ違っていた。戦前、自宅の二階に鏑木清方の絵が飾ってあったが、戦災で失い、是非また清方の作品をと青年時代、思い続けていたそうだ。酒も煙草もギャンブルもせず、靴は一足、タクシーにも乗らず、給料をこつこつ貯めて、ようやく一点の清方作品を手にいれた。その後、キャバレー事業を開始し、それが当たり、福富さんの蒐集美術品はどんどん増えていったのだ。その100点近くがここに集合しているのだ」と紹介したうえで「戸外は春雨」にかんして「劇場の舞台裏を描いたもので十数名の様々な姿態の踊り子が描かれている。画集ではみたような気がするが、実物ははじめてだ」と述べている。
 実物は福富太郎コレクション所蔵だが、ここにあるようにに画集にも収められているとすれば、図録ともども気をつけていよう、そのうち出会えるかもしれない。
伊東深水が描いた根津清太郎 補遺_a0248606_10301352.jpg

 その「戸外は春雨」(三田純市「蕩児余聞」は「戸外春雨」としている)の向かって右の下の絵に中年の男が一人ぽつねんと壁にもたれかけている。根津清太郎と思いたいが「蕩児余聞」に「小麦色の肌をした踊り子たち、青や赤や、白や黒の衣装の散らばったその風景の片隅に、その老人が、たぶんファンからの贈り物であろうか、花束を手にして立っている」とある絵柄とは違っている。ただし、はっきりとはわからないけれど男が花束を持っていると見えなくもない。
 終わりになりましたが、参照、引用させていただきましたブログ「気ままに 大船での気ままな生活日誌」に御礼を申し上げます。
by yumenonokoriga | 2013-07-15 10:36 | 日劇ミュージックホールの文学誌

いまはない日劇ミュージックホールをめぐるコラムです。

by yumenonokoriga
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