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「バンドワゴン」

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「バンドワゴン」。大好きなミュージカル映画であり、これまでもっとも回数を重ねて観た作品のひとつでもある。
 フレッド・アステアの至芸、オスカー・レヴァント、ナネット・ファブレイ、ジャック・ブッキャナン等達者な脇役陣、「ザッツ・エンタテインメント」「バイ・マイセルフ」「あなたと夜と音楽と」「サムシング・ツー・リメンバー・ユー・バイ」等の素敵なナンバー、そしてアステアとコンビを組んだシド・チャリシーの魅力・・・・・・こうして挙げているだけでミュージカルのたのしさを体感してしまうほどだ。
 日本での公開は一九五三年(昭和二十八年)の暮れで、映画、演劇、ジャズにわたる評論、また映画ポスターやグラフィックデザインにおいて優れた業績を遺した野口久光(1909-1994)がさっそく「NMH雑感 ファンとして一言」で、ミュージックホールとしてもこの「バンドワゴン」に学ぶように勧めている。
〈MGMの近作「バンドワゴン」をみた時に感じたところであるが、あの中のミュージカル・ナンバーのいくつか、たとえばミッキー・スピレーンのエロティックなスリラーをもじつた「女狩り」のナンバーなどはアイデアそのもの、装置、振付などにも、大いにNMHのシヨウの学んでよいところがあつたようにおもう。何も真似してほしいというのではないが、二時間のシヨウが時にやや長く感じるのはテンポの問題とともに内容的なものの不足をいつも感じるのである。〉
 文中の「女狩り」はラストに近い暗黒街での「ガール・ハント・バレー」のシーンで、私立探偵に扮したフレッド・アステアと真っ赤なドレスとハイヒール姿のシド・チャリシーがダイナミックな踊りで観客を魅惑し、圧倒する。大都会の高層ビルの谷間にある公園で二人がエレガントに踊る「ダンンシング・イン・ザ・ダーク」とならぶこの映画のもっとも有名な場面である。
 敬愛する野口久光さんが、大好きな「バンドワゴン」をミュージックホールに繋げてあるのを見るとそれだけでうれしい気分だ。
 上の提案がどれほど取り入れられ、活かされたかはわからないけれど、演出陣には示唆に富むものとして受けとめられたと信じたい。
 それにしてもいちどミュージックホールの舞台で「ガール・ハント・バレー」を見てみたかった。

by yumenonokoriga | 2014-04-25 08:54 | 日劇ミュージックホールの文学誌 | Comments(0)