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夢の残り香~日劇ミュージックホールの文学誌

山本晋也と日劇ミュージックホール

 昭和四十九年(一九七四年)五・六月公演「裸舞裸舞ふあんたじい」で日劇ミュージックホールは日活ロマンポルノのひろみ麻耶を起用して評判を呼んだ。この年の二月、彼女は「実録・ジプシー・ローズ」でデビューしていて、ジプシー・ローズとの縁つながりでの起用だった。
この評判を承けて荒木尚志プロデューサーが推進したのが日活ロマンポルノとの提携で、同年末の「ブラボーエロスの祭典」での大山節子を手はじめとして田中真理、田口久美、谷ナオミ、八並映子、松田瑛子、小川亜佐美、山口美也子、志摩いづみといったロマンポルノ女優陣がつぎつぎと舞台に登場した。なかで大山節子は舞台に立ったのを機に映画をやめてミュージックホールの専属となった。
 日活との提携は女優陣にとどまらず演出にも及んでいてロマンポルノの監督がミュージックホールの一部の景を演出するようになった。そのなかのひとりに山本晋也監督がいる。
 昭和五十四年一・二月公演「’79愛とエロスのファンタジア」の第二部第六景「ぽこちん共和国」は山本の演出、黒鉄ヒロシの原作脚本、ロマンポルノから原悦子が出演した。
 前年には同監督、原悦子主演の「ポルノ・チャンチャカチャン」が公開されていて赤塚不二夫がポスターを担当している。山本晋也が狙っていたものがマンガと濃い関係にあるのがうかがわれる。
 「’79愛とエロスのファンタジア」のパンフレットに「ミュージックホール初演出の弁」を寄せていて、それによると昭和十四年生まれの「カントク」が終戦直後、小学一年生のとき伯母さんに連れられて日劇で観たのが「鐘の鳴る丘」で、大劇場ではなく日劇小劇場での芝居だった。その後「広瀬元美さんやジプシー・ローズねえさんたちの活躍を“奇譚クラブ”という本で知り、おねえさんたちは私のオナペットになりました」、そしていま「その人たち、いわば日本のポルノのあけぼのを創ったおねえさんたちの流した、一しずくの汗を、舞台に感じながら、稽古にはげんでいるのは感無量です」と真情を述べている。かつてのオナペットたちが立った舞台を演出した出世譚である。
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by yumenonokoriga | 2016-11-07 12:01 | 日劇ミュージックホールの文学誌

いまはない日劇ミュージックホールをめぐるコラムです。

by yumenonokoriga
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