記念公演

 日劇ミュージックホールは昭和二十七年三月十七日「東京のイヴ」で開場した。それから十年経った昭和三十七年三月一日に開幕した舞台は「そっと乳房は夢を見る」と名付けられていたが、これには十周年記念公演の冠はない。
 記録によるとさいしょに周年記念公演とされたのは昭和四十七年一・二月の「開場20周年記念 すべて乳房からはじまる」で小浜奈々子、松永てるほ、朱雀さぎり、舞悦子、浅茅けいこ、岬マコといった当時の、またのちにトップスターとなったダンサーが集った絢爛とした舞台だった。
それから五年のちの昭和五十二年一・二月の「開場25周年記念」公演は「’77乳房の祭典」で、おそらく開場二十周年の「乳房」が意識されている。
 そして昭和五十七年は「日劇ミュージックホール開場三十周年記念特別公演 ’82エロティカル序曲」(蜷川幸雄演出)で幕を開けたが、このときは有楽町の日劇ではなく東京宝塚劇場に移転していた。残念ながら開場三十五周年を迎えることなく昭和五十九年ミュージックホールは閉場した。
 「すべて乳房からはじまる」と「’77乳房の祭典」のパンフレットには演劇評論家橋本与志夫が「観客席からの二十年!」と「25年・ひとむかし」を寄せ、なかで思い出の歌手として高英男、丸山明宏、深緑夏代、宝とも子、橘薫、黒田美治、柳沢真一、ペギー葉山、淡谷のり子、雪村いづみ、水森亜土の名を挙げている。本ブログでは歌手を採りあげたことが殆どないので、ささやかな記念と思い出に歌手名をしるしておいた。
 もうひとつ「’77乳房の祭典」には紀伊國屋書店の創業者で粋人文化人として知られた田辺茂一が「25周年を祝って」という一文を寄せていて広瀬元美や伊吹マリ、桜洋子たちの思い出とともに「江戸川乱歩さんが元気だった頃、私はよく先生と一緒に、日劇ミュージックの楽屋を訪れた」と書いていて乱歩とミュージックホールのつながりがあったことが知れる。
 江戸川乱歩がこの劇場について書いたエッセイがあれば読んでみたいな。ご存知の方いらっしゃれば教えてください。
(写真はトニー谷と田口久美。「’77乳房の祭典」のパンフレットより。)
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by yumenonokoriga | 2016-12-07 10:29 | 日劇ミュージックホールの文学誌 | Comments(0)