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2012年 04月 10日 ( 1 )

映画のなかのミュージックホール

a0248606_12255713.jpg 日劇ミュージックホールのこけら落とし公演は越路吹雪がゲスト出演した「東京のイブ」。一九五二年(昭和二十七年)三月十五日が初日で、ハダカのない娯楽の殿堂として出発したのだったが無惨な不入りで、翌月二十五日ヌードを入れた「ラブ・ハーバー」での再出発となった。
 その越路吹雪が横山泰三の漫画をもとに市川崑監督が映画化した「プーサン」では満員のミュージックホールの客席にいる。コーちゃん扮するミス・ガンコが伊藤雄之助のプーサンをミュージックホールへと誘う。男まさりのミス・ガンコだったが、いざショーがはじまると恥ずかしくなって眼をそらせてしまうところがかわいい。反対に弱気だったプーサンは身を乗り出して見つめている。舞台中央で踊っているのはメリー松原。(写真)
 スクリーンには日劇の看板が一瞬映って「桃源の美女たち」とある。記録によるとこの公演は一九五三年二月一日から四月十五日まで行われており、メリー松原のほかに伊吹まり、R.テンプル、奈良あけみ、邦ルイズ、阿里しのぶの名前が見えている。ちなみに映画の公開は一九五三年四月十五日だった。
 ヌードショーの満員の客席のなか、越路吹雪の胸に一年ほどまえの不入りの舞台が思い出されたかもしれない。
 再出発公演「ラブ・ハーバー」、構成は丸尾長顕、演出は岡田恵吉が担当した。
ヌードを入れてもまだプログラム上での主役はNDTの選抜チームで、このメンバーのなかにのちに女優となった根岸明美がいて、彼女は翌年「魔子恐るべし」という映画に出演している。山で出会った画家を訪ねて信州から上京した魔子が男たちに狙われ食いものにされそうになり、その都度切り抜けるといった話で、作品としては珍品に属するといってよい。ここでは根岸明美が新宿フランス座でセミヌードになって踊るシーンがある。舞台は当時あった同劇場だろう。ミュージックホールからの出張組も出演していて、伊吹まりがスター格、男性ダンサーが新谷登(のちの泉和助)、伊吹のうしろにいる何人かの踊り子のなかに春川ますみがいる。
 「プーサン」や「魔子恐るべし」にちらりと映る初期のミュージックホールの踊り子たち。いずれもいまでは貴重な映像だろう。東宝系のミュージックホールだから昔の東宝映画、新東宝映画のなかには思わぬ出会いが待っている。

by yumenonokoriga | 2012-04-10 09:09 | 日劇ミュージックホールの文学誌 | Comments(0)